皮膚の病気はとても数が多く、また診察時にすべてをお話しすることは難しいため、よくある病気の説明を記載しています。当院を受診される患者様の疾患理解と治療の一助となれば幸いです。気になることがあれば診察中に医師、看護師までお声かけください。
日焼けとは
日光(紫外線)による皮膚炎。
症状が強い場合には、水ぶくれ(水疱)や痛みを伴う。
光老化や将来的な皮膚がんのリスクを高めるといわれています。
日焼けとは、太陽光に含まれる紫外線(UV)を浴びることで、皮膚が炎症を起こし、赤くなったり、ヒリヒリとした痛みを感じたり、色素沈着(シミや黒ずみ)が生じたりする状態を指します。医学的には「日光皮膚炎」とも呼ばれます。日焼けは単なる肌の色の変化ではなく、皮膚細胞へのダメージであり、軽度なものから重度なものまで様々です。
紫外線には、主にUVAとUVBの2種類があり、それぞれ皮膚に異なる影響を与えます。
・UVB:短時間で皮膚の表面に炎症を起こし、赤み、ヒリヒリ感、痛み、水ぶくれなどの急性症状(サンバーン)を引き起こします。皮膚がんの主な原因となります。
・UVA:比較的ゆっくりと皮膚の奥深くまで浸透し、急激な炎症は起こしにくいものの、肌の弾力性を奪い、シワやたるみなどの光老化(ひかりろうか)を促進します。また、既存のメラニンを酸化させて皮膚を黒くする作用(サンタン)もあります。
日焼けは、夏のレジャーやスポーツだけでなく、日常生活の中でも知らず知らずのうちに進行することがあります。放置すると、シミやそばかす、シワ、たるみといった光老化を早めるだけでなく、将来的に皮膚がんや白内障などのリスクを高めることが科学的に証明されています。日焼けは単なる美容の問題ではなく、皮膚の健康を守る上で非常に重要な対策が必要です。適切な予防と、症状が出た場合の適切なケアを開始することが、長期的な皮膚の健康のために非常に重要です。
24時間WEB予約受付中
日焼けの主な原因と誘発要因
ポイント
日焼けは、太陽光に含まれる紫外線(UV)が皮膚に当たることで発生します。紫外線の量や種類、個人の肌質や遺伝的要因、そして日焼け止めなどの対策の有無が、日焼けの程度を左右します。
主な原因
・紫外線(UVBとUVA)への曝露:太陽光線に含まれる紫外線が皮膚の細胞にダメージを与えることが直接的な原因です。
・UVB:皮膚の表皮細胞のDNAを損傷し、炎症反応を引き起こします。メラニン色素を強く生成させる作用もあります。
・UVA:皮膚の真皮層にまで達し、コラーゲンやエラスチンといった線維を破壊することで、シワやたるみ(光老化)を促進します。メラニンを酸化させ、肌を黒くする作用が強いです。
・メラニン色素の生成と皮膚の防御反応:
紫外線が皮膚に当たると、皮膚の細胞がダメージを受けます。これを防御するために、メラノサイトという細胞がメラニン色素を生成し、紫外線が皮膚の深部に届くのを防ぎます。このメラニン色素が増えることで肌が黒くなります。しかし、過剰な紫外線に曝露されると、メラニン生成が追いつかず、皮膚細胞が炎症を起こします。
日常生活で日焼けを誘発・悪化させる要因
・紫外線の強い時間帯・場所
・時間帯:紫外線の量は、午前10時から午後2時頃が最も多いです。
・季節:夏が最も紫外線量が強いですが、春や秋でも油断はできません。冬でもスキー場などでは雪や氷による反射で強い紫外線を浴びることがあります。
・場所:標高が高い場所(山、スキー場)や、水辺(海、プール)では、紫外線が強く、反射も加わるため、日焼けしやすいです。
・紫外線対策の不足
・日焼け止め:SPFやPAの数値が低い、塗る量が少ない、塗り直しが不十分、適切な種類を選んでいないなどが挙げられます。
・衣類・小物:帽子、日傘、サングラス、長袖の着用が不十分な場合も注意が必要です。
・肌質・遺伝的要因
・色白の肌:メラニン色素が少ない肌は、紫外線防御能力が低いため、赤くなりやすく炎症を起こしやすいです。
・遺伝:日焼けしやすさやシミの出来やすさは、遺伝的な体質も影響します。
・特定の薬剤の服用:一部の薬剤(利尿薬、抗菌薬、抗うつ薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬など)には、光線過敏症(光アレルギー)を引き起こし、通常よりも弱い紫外線で重い日焼けのような症状が出る副作用を持つものがあります。
・不適切なスキンケア:皮膚のバリア機能が低下している場合(乾燥肌など)は、紫外線によるダメージを受けやすくなります。
「日焼けは健康的な証拠だ」「日焼けしても肌が黒くなるだけ」といった誤解がありますが、紫外線は皮膚にとって大きな負担であり、慢性的なダメージは将来の皮膚疾患のリスクを高めます。
日焼けの治療法(症状が出た場合の対処法)
主な治療法
日焼けは基本的には予防が最も重要ですが、万が一症状が出てしまった場合は、皮膚の炎症を抑え、ダメージを最小限に抑えるための適切なケアと治療が必要です。当院では、日焼けの症状の程度に応じて、最適な治療プランをご提案しています。
冷却と安静
日焼けした部位を冷やし、安静に保つことが第一です。炎症を鎮め、痛みや熱感を和らげる即効性のある対処法です。冷たいタオル、冷却シート、または流水などで、ヒリヒリ感がなくなるまで冷やし続けます。水ぶくれがある場合は、破らないように優しく冷却しましょう。
外用薬(塗り薬)
・ステロイド外用薬:炎症を強力に抑え、赤み、腫れ、痛み、かゆみなどの症状を和らげるために処方されます。日焼けの程度に応じて、適切な強さのステロイドが選ばれます。
・保湿剤:日焼けした皮膚は乾燥しやすいため、バリア機能を補い、皮膚の回復を促すために保湿剤を塗布します。
内服薬(飲み薬)
・鎮痛剤:痛みが強い場合に、解熱鎮痛剤が処方されることがあります。
・抗ヒスタミン薬:かゆみが強い場合に処方されます。
・ステロイド内服薬:広範囲にわたる重度の日焼けや、全身症状(発熱、吐き気など)を伴う場合に、短期間使用されることがあります。
・ビタミン剤:ビタミンC(炎症後色素沈着、コラーゲン生成促進)などのビタミン剤が、皮膚の回復を助ける目的で処方されることもあります。
・漢方薬:湿疹が合併しているなど、炎症やかゆみ、乾燥、体質改善を図る目的で処方する場合があります。
水ぶくれへの処置
大きな水ぶくれができた場合は、自己判断で破らずに医療機関を受診しましょう。感染を防ぎ、治癒を促すための適切な処置(水ぶくれの穿刺排液、保護など)を行います。細菌感染のリスクを減らし、治癒を早めることができます。
色素沈着(シミ)への治療
日焼けが原因でできたシミや色素沈着に対しては、炎症が治まった後に、ハイドロキノンなどの美白剤の外用、ピーリング、レーザー治療などが検討されることがあります。また医療機関専売品の日焼け止め、いわゆるドクターズコスメやサプリメントなど、多数取り扱っております。
当院では、皮膚科専門医である院長が常駐しており、日焼けの症状を正確に診断し、最新の知見に基づいた最適な治療法を提供しています。皮膚のダメージを最小限に抑え、将来の皮膚トラブルのリスクを減らすためのアドバイスも丁寧に行います。
日焼けの予防とセルフケアのポイント
具体的な対策
日焼けは皮膚にとって大きなダメージであり、予防が何よりも重要です。日々の生活で紫外線対策を徹底し、肌の健康を守りましょう。
日焼け止めを正しく使う
紫外線吸収剤または紫外線散乱剤が配合された日焼け止めを選びましょう。屋外活動が多い場合はSPF30~50+、PA+++~++++、日常使いならSPF20~30、PA++~+++を目安に選びます。
顔だけで500円玉大、体には手のひらいっぱいを目安に、たっぷりと塗布しましょう。量が少ないと表示通りの効果は得られません。塗り忘れやすい首の後ろ、耳、手の甲、足の甲なども忘れずに塗りましょう。
また、汗をかいたり、タオルで拭いたりした後、2~3時間おきにこまめに塗り直すことも大切です。特に海水浴や水泳の後などは必ず塗り直してください。
紫外線の強い時間帯・場所を避ける
紫外線の量が多い時間帯(午前10時~午後2時頃)の外出や、紫外線が強い場所(海、山など)での長時間の活動は避けましょう。これらの時間帯はできるだけ屋内で過ごしたり、木陰や日傘などを活用したりしましょう。紫外線の総量を減らすことが、日焼けの最も基本的な予防策です。
衣類や小物で紫外線を物理的にブロックする
長袖・長ズボン、帽子、日傘、サングラスなどを積極的に活用しましょう。
・衣類:UVカット機能のある素材を選ぶとより効果的です。色の濃い、目が詰まった生地ほど紫外線を通しにくい傾向があります。
・帽子:つばの広いものを選び、顔や首の後ろをしっかり覆いましょう。
・日傘:UVカット加工されたものを選び、顔や体に直接紫外線が当たらないようにします。
・サングラス:UVカット機能付きのものを選び、目から入る紫外線を防ぎましょう。
適切なスキンケア
日焼け後の皮膚はデリケートなので、優しく洗い、しっかり保湿しましょう。日焼けした肌を刺激しないよう、低刺激性の洗顔料やボディソープで優しく洗い、ぬるま湯でしっかりすすぎます。入浴後は、化粧水や乳液、クリームなどでたっぷりと保湿し、肌のバリア機能を整えましょう。保湿によって皮膚の潤いを保ち、回復を促すことが大切です。
バランスの取れた食生活と十分な睡眠
内側からも肌の健康をサポートしましょう。ビタミンC(抗酸化作用、コラーゲン生成)、ビタミンE(抗酸化作用)、β-カロテン(皮膚の健康維持)などを多く含む野菜、果物、ナッツ類などを積極的に摂りましょう。十分な睡眠も肌の再生を助けます。
やってはいけないこと・避けるべきこと
・日焼けした肌をゴシゴシ擦る:刺激を与えて炎症を悪化させたり、水ぶくれを破ったりする原因となります。
・日焼けした肌に直接氷を当てる:急激な温度変化は肌に負担をかけることがあります。冷たいタオルなどで優しく冷やしましょう。
・水ぶくれを自分で潰す:細菌感染のリスクを高め、治りを遅らせたり、痕が残ったりする原因となります。
・日焼け止めを塗れば絶対焼けないと過信する:日焼け止めはあくまで補助的なものです。物理的な遮光や時間帯を考慮した行動が重要です。
よくある質問(FAQ)
日焼けをするとシミやシワが増えるというのは本当ですか?
はい、本当です。紫外線はシミやシワの大きな原因となります。
・シミ:紫外線が皮膚のメラノサイトを刺激し、メラニン色素を過剰に生成させることで、シミ(老人性色素斑)やそばかすが増えたり濃くなったりします。
・シワ・たるみ:紫外線(特にUVA)は、皮膚の奥深くにあるコラーゲンやエラスチンといった線維を破壊し、肌の弾力性を奪います。これにより、シワやたるみといった「光老化」が促進されます。
紫外線によるダメージは蓄積されるため、若い頃からの紫外線対策が、将来の肌の健康と美しさを保つ上で非常に重要です。
日焼けで赤くなってヒリヒリする時はどうすれば良いですか?
日焼けで赤みやヒリヒリ感がある場合は、まず患部を徹底的に冷やすことが最も重要です。冷たいタオルや流水、保冷剤(直接当てずにタオルなどで包む)などで、ヒリヒリ感がなくなるまで冷やし続けましょう。その後、保湿剤で肌を優しく潤し、乾燥を防ぎましょう。痛みが強い、水ぶくれができた、広範囲に症状がある、発熱や吐き気などの全身症状を伴う場合は、早めに皮膚科を受診してください。炎症を抑えるステロイド外用薬や内服薬が必要となる場合があります。
子供の日焼けは大人と比べて何か注意が必要ですか?
はい、子供の皮膚は大人よりも薄く、バリア機能も未熟なため、紫外線によるダメージを受けやすく、日焼けしやすい傾向があります。子供の頃の日焼けは、将来の皮膚がんのリスクを高めることが科学的に証明されています。そのため、子供の紫外線対策は大人以上に重要です。特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんには日焼け止めだけに頼るのではなく、日陰での活動や衣類による遮光を徹底しましょう。外遊びの際は、長袖・長ズボンの着用、帽子、サングラス、そして子供用の低刺激性の日焼け止めをこまめに塗ることを心がけましょう。水遊びの際は、ウォータープルーフの日焼け止めを使い、定期的に塗り直しましょう。
曇りの日や冬でも日焼け対策は必要ですか?
はい、曇りの日や冬でも日焼け対策は必要です。
・曇りの日:雲は紫外線を完全に遮断するわけではありません。UVBは曇りで減少しますが、UVAはほとんど減少しません。そのため、曇りの日でもUVAによる光老化は進行します。
・冬:冬は夏に比べて紫外線量は減りますが、ゼロではありません。特に雪や氷は紫外線を反射するため、スキー場などでは非常に強い紫外線を浴びる可能性があります。
また、季節を問わずUVAは常に降り注いでいるため、光老化対策として一年中日焼け止めを使用することをお勧めします。
日焼け止めはどんな種類を選べば良いですか?
日焼け止めは、以下の点を目安に選びましょう。
・SPF値(Sun Protection Factor):
UVB(肌を赤くする紫外線)に対する防御効果を示します。数値が高いほど防御効果は高まりますが、日常使いであればSPF20~30、炎天下でのレジャーにはSPF50+が目安です。
・PA値(Protection Grade of UVA):
UVA(肌を黒くし、シワ・たるみを引き起こす紫外線)に対する防御効果を示します。「PA+」から「PA++++」まであり、+が多いほど防御効果が高まります。日常使いであればPA++~+++、炎天下にはPA++++が推奨されます。
・使用目的:
普段使い、レジャー用、敏感肌用、子供用など、目的や肌質に合わせて選びましょう。また海やプール、運動時には水や汗で落ちにくいウォータープルーフの日焼け止めを選びましょう。
・剤形:
クリーム、ミルク、ジェル、スプレーなど様々です。使い心地の良いものを選び、表示された推奨量を守って塗りましょう。
日焼けしてしまった後に、シミにならないようにできることはありますか?
日焼けしてしまった後でも、シミにならないようにできることがあります。
炎症をしっかり抑える:日焼けで赤みや痛みが強い場合は、まず患部を冷やし、必要に応じて皮膚科で処方されたステロイド外用薬で炎症を抑えましょう。炎症が長引くと、その後の色素沈着(炎症後色素沈着)につながりやすいためです。
保湿を徹底する:日焼け後の肌はバリア機能が低下し、乾燥しやすいため、高保湿の化粧水やクリームでしっかりと潤いを与えましょう。
美白ケア:炎症が治まったら、ビタミンC誘導体、ハイドロキノン、トラネキサム酸などの美白成分が配合された化粧品や内服薬を使用することも有効です。ただし、肌の状態によっては刺激になることもあるので、心配な場合は皮膚科にご相談ください。
引き続き紫外線対策:シミを濃くしないためにも、引き続き徹底した紫外線対策を行いましょう。
このような場合はご相談ください
以下のような症状や状況に当てはまる場合は、一人で悩まず、お気軽に当院にご相談ください。
日焼けで皮膚がひどく赤く腫れている、激しい痛みがある、または大きな水ぶくれができている
日焼け後に発熱、吐き気、頭痛、めまいなどの全身症状を伴う
日焼けした部位が化膿している、または症状がなかなか改善しない
日焼け後にできたシミやそばかす、皮膚のざらつきが気になる
特定の薬剤を服用中に、いつもよりひどい日焼けの症状が出た(光線過敏症の可能性)
お子様がひどい日焼けをしてしまった
日焼け止めを塗っているのに焼けてしまう、正しい日焼け対策について詳しく知りたい
日焼けと将来の皮膚がんリスクについて不安がある
24時間WEB予約受付中
日焼けは、適切な予防と、症状が出た場合の早期の対処が非常に重要です。当院の皮膚科専門医が、患者さん一人ひとりの肌の状態と症状を正確に診断し、最適な治療法と予防策をご提案いたします。「ここに来れば大丈夫」と安心していただけるよう、全力でサポートさせていただきますので、どんな些細なことでもお声がけください。
監修医情報
略歴
-
2003年
名古屋工業大学 卒業後
愛知県名古屋市の建築設計会社 勤務 -
2008年
琉球大学医学部 入学
-
2014年
ハートライフ病院 初期研修
-
2016年
琉球大学皮膚科 入局
皮膚科学講座助教、病棟医長を経て -
2023年
沖縄皮膚科医院 開業
資格・所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本アレルギー学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本皮膚免疫アレルギー学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会認定皮膚科指導医
- 難病指導医
- 小児慢性特定疾病指定医