皮膚の病気はとても数が多く、また診察時にすべてをお話しすることは難しいため、よくある病気の説明を記載しています。当院を受診される患者様の疾患理解と治療の一助となれば幸いです。気になることがあれば診察中に医師、看護師までお声かけください。
帯状疱疹とは
治療が遅れると神経痛が長期に及ぶことも。
皮疹がなくてもピリピリ、チクチクと痛みがあれば受診しましょう。
帯状疱疹はワクチンで予防する時代、当院では自治体の助成も利用できます。
帯状疱疹は、体の中に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症する病気です。このウイルスは、子供の頃にかかる水ぼうそう(水痘)の原因ウイルスと同じです。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄の神経節に潜んでおり、通常は何十年も休眠状態を保っています。しかし、加齢や疲労、ストレス、病気などで免疫力が低下すると、ウイルスが再び活動を開始し、神経を伝って皮膚に達することで、帯状疱疹として症状が現れます。
主な症状は、体の片側に帯状に現れる、強い痛みと赤みのある発疹や水ぶくれです。痛みはピリピリ、チクチク、ズキズキと表現されることが多く、発疹が現れる数日前から始まることもあります。発疹は胸から背中、お腹にかけて現れることが多いですが、顔や腕、脚など体のどの部位にも発症する可能性があります。特に、顔、特に目の周りに発症した場合は、視力障害につながる危険性もあるため、注意が必要です。放置すると、発疹が治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛という状態に移行することがあり、これは治療が非常に難しく、慢性的な痛みとなることがあります。早期に診断を受け、適切な治療を開始することが、症状の悪化を防ぎ、合併症のリスクを減らすために非常に重要です。
24時間WEB予約受付中
帯状疱疹の主な原因と誘発要因
ポイント
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することによって発症します。このウイルスの再活性化には、様々な要因が関係しています。
主な原因
・水痘・帯状疱疹ウイルスの潜伏と再活性化:帯状疱疹の根本的な原因は、過去に水ぼうそうにかかったことがある人が持つ、体内の神経節に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスです。体の免疫力が低下すると、このウイルスが再び増殖を始め、神経を通って皮膚表面に出てくることで、痛みと発疹を引き起こします。
日常生活で症状を悪化させる誘発要因
・加齢:50歳以上になると、帯状疱疹の発症リスクが上昇します。これは、加齢とともに免疫力が自然と低下するためです。80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験すると言われています。
・疲労・ストレス:肉体的・精神的な疲労や強いストレスは、体の免疫力を低下させる大きな要因となります。過労やストレスが続くと、ウイルスの再活性化が促されやすくなります。
・免疫力の低下:
・病気: がん、糖尿病、膠原病、HIV感染症など、免疫機能を低下させる病気にかかっている場合、帯状疱疹のリスクが高まります。
・薬剤:ステロイド剤や免疫抑制剤など、免疫力を抑える作用のある薬を服用している場合も、ウイルスの再活性化が起こりやすくなります。
・病気や手術、外傷:大きな病気や手術の後に体が弱っている時、あるいは局所の外傷や紫外線などが引き金となることもあります。
・睡眠不足:睡眠不足は体の回復力を低下させ、免疫力にも悪影響を及ぼすため、帯状疱疹の誘発要因となりえます。
「帯状疱疹は人から人へうつる」「水ぶくれを破ると悪化する」といった誤解がありますが、帯状疱疹は基本的には人から人へ直接うつる病気ではありません(ただし、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などには水ぼうそうとしてうつる可能性はあります)。また、水ぶくれを破ると感染や痕のリスクが高まるため、触らないことが大切です。
帯状疱疹の治療法
主な治療法
帯状疱疹の治療は、ウイルスの増殖を抑え、痛みと炎症を和らげ、帯状疱疹後神経痛などの合併症を防ぐことが主な目的です。発症早期に治療を開始することが非常に重要であり、特に発疹が現れてから72時間以内に治療を開始できると、重症化や合併症のリスクを大幅に減らせると言われています。
抗ウイルス薬の内服
帯状疱疹の治療の中心となる薬剤です。ウイルスの増殖を抑えることで、発疹の拡大や重症化を防ぎ、痛みを軽減し、治癒を早める効果があります。バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルなどがあり、通常は5~7日間内服します。早期に開始することが非常に重要です。
痛みに対する治療
・鎮痛剤(内服):ウイルスを抑える薬と並行して、発疹に伴う痛みを和らげるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどが処方されます。痛みが強い場合は、より強い鎮痛剤や神経障害性疼痛に効果のある薬剤が検討されることもあります。
・漢方薬:鎮痛効果を高める目的で処方する場合があります。
・外用薬:患部の炎症やかゆみを抑えるために、ステロイド外用薬が処方されることがあります。また、カプサイシンなどを含む鎮痛効果のある軟膏が用いられることもあります。
炎症を抑える治療(場合により)
炎症が非常に強い場合や、特定の部位(顔面、特に目や耳)に発症して合併症のリスクが高い場合は、短期間、経口ステロイド薬が併用されることもあります。
その他
・スキンケア:水ぶくれが破れて細菌感染を起こさないよう、患部を清潔に保つことが重要です。水ぶくれは破らず、やさしく保護します。
・安静と休養:免疫力の低下が発症の原因となることが多いため、十分な休養を取り、無理のない生活を送ることが大切です。
・帯状疱疹ワクチンの接種:帯状疱疹を予防するためには、ワクチン接種が有効です。特に50歳以上の方には接種が推奨されています。当院でも各種ワクチン(シングリックス、乾燥弱毒生水痘ワクチン)のご案内をしておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院では、皮膚科専門医である院長が常駐しており、帯状疱疹の診断と治療に関して豊富な経験と知識を持っています。患者さんの症状を詳細に診察し、発症からいかに早く治療を開始するかが重要であることを踏まえ、迅速かつ的確な治療を提供しています。患者さんが安心して治療に取り組めるよう、丁寧な説明とサポートを心がけています。
日常生活でできる事・セルフケアのポイント
具体的な対策
帯状疱疹の症状を和らげ、合併症を防ぎ、回復を早めるためには、毎日のセルフケアが非常に重要です。患者さんが自宅で実践できる具体的な対策を解説します。
患部を清潔に保ち、刺激を与えない
発疹や水ぶくれのある患部を清潔に保ち、刺激を与えないようにしましょう。患部を石鹸でゴシゴシ洗うのは避け、シャワーで優しく洗い流す程度にします。水ぶくれは破らないように注意し、清潔なガーゼなどで保護すると、衣類との摩擦や外部からの刺激を防げます。
患部を清潔に保つことで、細菌感染(とびひなど)のリスクを減らせます。水ぶくれを破ると、そこから細菌が侵入しやすくなったり、治りが遅くなったり、痕が残りやすくなったりするためです。
十分な休養と睡眠
肉体的、精神的なストレスや疲労を避け、十分な休息をとりましょう。無理な活動は控え、睡眠時間を十分に確保します。ストレスを感じたら、趣味やリラックスできる時間を作り、心身を休ませましょう。
帯状疱疹は免疫力の低下が原因で発症するため、休養をとって免疫力を回復させることが、ウイルスの活動を抑え、病気の回復を早める上で非常に重要です。
バランスの取れた食事
免疫力を高めるために、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、ビタミンB群(神経の機能を助ける)、ビタミンC(免疫力向上)、タンパク質(体の細胞の修復)を意識して摂ると良いでしょう。
体に必要な栄養素をしっかり摂ることで、体の回復力や免疫力を高め、病気の治癒をサポートします。
衣類の選び方
患部に刺激を与えない、柔らかくゆったりとした衣類を選びましょう。綿などの肌触りの良い天然素材がおすすめです。締め付けの強い衣類は避けましょう。
患部への摩擦は、痛みやかゆみを増強させたり、水ぶくれが破れる原因になったりするため避けましょう。
患部を冷やさない
患部を冷やしすぎないようにしましょう。冷やすと痛みが和らぐこともありますが、血行が悪くなり、回復を遅らせる可能性もあります。保温を心がけ、体を冷やさないようにしましょう。
やってはいけないこと・避けるべきこと
・水ぶくれを自分で潰す:感染や痕のリスクが高まるため、絶対に避けましょう。
・症状が出ている部位を掻きむしる:掻くことで炎症が悪化し、細菌感染を起こしやすくなります。
・自己判断で治療薬の使用を中断する:症状が改善しても、医師の指示なく抗ウイルス薬の使用を中断すると、ウイルスの再増殖や合併症のリスクが高まります。
・無理して仕事を続ける、過度な運動をする:疲労やストレスは免疫力を低下させ、病気の回復を遅らせる原因になります。
よくある質問(FAQ)
帯状疱疹は、一度なったら二度とならないと聞きましたが本当ですか?
いいえ、残念ながら一度かかっても再発する可能性はあります。帯状疱疹は水ぼうそうウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症します。一度かかると一時的に免疫はできますが、時間の経過とともに再び免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化して、再び帯状疱疹を発症する可能性があります。特に高齢者や免疫力が低下している方は、再発のリスクも考慮する必要があります。
発疹が出る前にピリピリした痛みがあるのですが、これも帯状疱疹の症状ですか?
はい、その可能性はあります。帯状疱疹は、特徴的な発疹が現れる数日前から、ピリピリ、チクチク、ズキズキとした痛みや違和感が先行して現れることがよくあります。これは、ウイルスが神経を伝って皮膚に出てくる際に神経を刺激するためです。このような症状に気づいたら、早めに皮膚科を受診してください。早期に治療を開始できると、発疹の重症化や痛みの軽減、合併症の予防につながります。
帯状疱疹は人にうつりますか?
帯状疱疹の患者さんから、直接的に帯状疱疹として他の人にうつることは基本的にありません。しかし、水ぼうそうにかかったことのない人や、水ぼうそうの免疫がない人(特に乳幼児や妊婦など)には、水ぶくれの中のウイルスが接触することで「水ぼうそう」としてうつる可能性があります。そのため、発疹が水ぶくれの状態の時は、特に水ぼうそうにかかったことのない人との接触を避けるよう注意が必要です。発疹が乾いてかさぶたになれば、感染力はなくなります。
帯状疱疹後神経痛とはどのようなものですか?
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の発疹が治った後も、痛みが3ヶ月以上続く状態を指します。痛みは焼けるような痛み、電気が走るような痛み、ズキズキとした痛みなど様々で、触れるだけで激痛を感じることもあります。特に高齢者で帯状疱疹を発症したり、急性期の痛みが強かったりするほど、帯状疱疹後神経痛に移行しやすいと言われています。一度発症すると治療が難しくなることがあるため、帯状疱疹の急性期に適切な治療を受け、痛みをコントロールすることが非常に重要です。
帯状疱疹の予防接種は受けた方が良いですか?
はい、50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。ワクチンには2種類あり、不活化ワクチン(シングリックス)と生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)があります。
・不活化ワクチン(シングリックス):50歳以上で、帯状疱疹の発症予防効果が97%と高く、帯状疱疹後神経痛の予防効果も優れています。2ヶ月間隔で2回接種が必要です。
・生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン):50歳以上で、帯状疱疹の発症予防効果は約50~60%とシングリックスより低いですが、帯状疱疹後神経痛の予防効果は約60%と報告されています。1回接種です。
どちらのワクチンを選ぶかは、効果の持続期間、費用、接種回数、基礎疾患の有無などを考慮し、医師と相談して決めることが大切です。当院でもワクチンのご相談を受け付けております。
子供の頃に水ぼうそうにかかっていないのですが、帯状疱疹になりますか?
原則として、水ぼうそうにかかったことがない人は帯状疱疹を発症しません。帯状疱疹は、水ぼうそうウイルスが体内に潜伏し、それが再活性化することで起こる病気だからです。ただし、水ぼうそうの予防接種を受けたことがある人も、ごくまれに帯状疱疹を発症することがあります。これは、ワクチンによってごく少量ながらウイルスが体内に取り込まれているためですが、症状は軽い傾向にあります。
このような場合はご相談ください
以下のような症状や状況に当てはまる場合は、一人で悩まず、お気軽に当院にご相談ください。
体の片側にピリピリ、チクチク、ズキズキとした痛みが始まり、その後に赤みや水ぶくれが出てきた
発疹が出る前から、原因不明の強い痛みや違和感が体の片側に続いている
発疹や水ぶくれが、顔(特に目や耳の周り)にできている
50歳以上で、帯状疱疹かもしれないと感じている
発疹の痛みが強く、日常生活に支障が出ている
帯状疱疹になった経験があり、再発が心配な方、または予防接種について知りたい方
免疫力が低下するような病気(糖尿病、がんなど)を患っている方、または免疫抑制剤を服用中の方で、帯状疱疹のような症状が出た場合
24時間WEB予約受付中
帯状疱疹は、発症から72時間以内に抗ウイルス薬の内服を開始できると、重症化や合併症(帯状疱疹後神経痛など)のリスクを大幅に減らせます。少しでも疑わしい症状があれば、迷わず皮膚科を受診しましょう。当院の皮膚科専門医が、患者さんの不安に寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。「ここに来れば大丈夫」と安心していただけるよう、全力でサポートさせていただきますので、どんな些細なことでもお声がけください。
監修医情報
略歴
-
2003年
名古屋工業大学 卒業後
愛知県名古屋市の建築設計会社 勤務 -
2008年
琉球大学医学部 入学
-
2014年
ハートライフ病院 初期研修
-
2016年
琉球大学皮膚科 入局
皮膚科学講座助教、病棟医長を経て、 -
2023年
沖縄皮膚科医院 開業
資格・所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本アレルギー学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本皮膚免疫アレルギー学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会認定皮膚科指導医
- 難病指導医
- 小児慢性特定疾病指定医