皮膚の病気はとても数が多く、また診察時にすべてをお話しすることは難しいため、よくある病気の説明を記載しています。当院を受診される患者様の疾患理解と治療の一助となれば幸いです。気になることがあれば診察中に医師、看護師までお声かけください。
虫さされとは
悪化すると痒疹やとびひに進展、跡が残ることも。
皮内に針が残っている場合もあり、早期に適切な治療が大切です。
虫さされは、昆虫が人の皮膚を刺したり噛んだりすることで生じる皮膚の炎症反応です。多くの場合、かゆみ、赤み、腫れといった症状が現れますが、虫の種類や個人の体質(アレルギーの有無)によっては、強い痛みや水ぶくれ、じんましん、アナフィラキシーショックなどの重篤な全身症状を引き起こすこともあります。
身近な昆虫(蚊、ブヨ、ノミ、ダニ、ハチ、毛虫など)によって引き起こされ、日常生活の中で誰もが経験する可能性があります。特に夏場のアウトドア活動や、自宅の庭先などでも起こり得ます。虫さされは単なる一時的なかゆみと捉えられがちですが、掻き壊しによって細菌感染を併発したり、アレルギー反応によって重症化したりするケースも少なくありません。市販薬で様子を見る方も多いですが、症状がなかなか改善しない場合や、腫れがひどい、全身症状を伴う場合は、早期に皮膚科専門医の診断を受け、適切な治療を開始することが、症状の悪化を防ぎ、合併症のリスクを減らすために非常に重要です。
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虫さされの主な原因と誘発要因
ポイント
虫さされは、昆虫が皮膚を刺したり噛んだりする際に、その唾液や毒液が体内に注入されることで、免疫反応や炎症反応が引き起こされることで発症します。虫の種類によって、症状の現れ方や重症度が異なります。
蚊
最も身近な吸血昆虫です。刺された直後から強いかゆみを伴う赤い膨疹(蚊に刺された跡)ができ、数時間~1日程度で軽快することが多いです。
ブヨ(ブユ)
蚊より小さく、刺されると激しい痛みとかゆみを伴う赤いしこりができ、腫れが強く出ることが多いです。治りにくく、数日から1週間以上症状が続くこともあります。
ノミ
ペットや野良動物に寄生し、人に移ることもあります。膝から下の露出した部位に、複数箇所がまとまって刺された跡(通称「三つ刺し」)ができやすいのが特徴です。強いかゆみと赤み、中心に点状の出血が見られることもあります。
ダニ(ツメダニ、イエダニなど)
布団や畳、カーペットなどに潜み、刺されると強いかゆみを伴う赤いブツブツ(丘疹)ができます。刺された跡が複数、線状に並ぶこともあります。かゆみは夜間や入浴後に増強しやすい傾向があります。
ハチ(アシナガバチ、スズメバチなど)
刺されると激しい痛み、腫れ、赤みが現れます。毒性が強く、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性があります。以前ハチに刺された経験がある人は、二度目に刺された際に重篤なアレルギー反応を起こすリスクが高まります。
毛虫(ドクガ、チャドクガなど)
毛虫の毒針が皮膚に付着することで、激しいかゆみを伴う赤いブツブツや水ぶくれが多数現れます。触れたり、風で飛んできた毒針に触れたりすることで発症します。
その他
クモ、アブ、ムカデ、アリなども虫さされの原因となることがあります。
「虫さされは放っておけば治る」「かゆいのは我慢するしかない」といった誤解がありますが、虫の種類や個人の体質によっては、適切な処置や治療が必要になります。特に掻き壊しによる二次感染や、アレルギー反応による重症化には注意が必要です。
虫さされの治療法
主な治療法
虫さされの治療は、かゆみや炎症を抑え、症状の悪化を防ぎ、細菌感染などの合併症を予防することが主な目的です。虫の種類や症状の程度、個人のアレルギー反応の有無によって治療法が異なります。
外用薬(塗り薬)
・ステロイド外用薬:虫さされによる炎症や強いかゆみを抑える最も基本的な薬剤です。症状の程度に応じて、強さの異なるステロイドが処方されます。掻き壊しによる悪化を防ぐためにも、かゆみが強い場合は早めに使用することが重要です。
・抗ヒスタミン外用薬:かゆみの原因物質であるヒスタミンの働きを抑え、かゆみを軽減します。
・抗菌薬外用薬: 掻き壊しによって細菌感染を併発している場合に処方されます。
内服薬(飲み薬)
・抗ヒスタミン薬:全身のかゆみが強い場合や、じんましんを伴う場合に処方されます。眠気が出にくいタイプもあります。
・ステロイド内服薬:腫れが非常に強い場合、広範囲にわたる重症の虫さされ、または毛虫皮膚炎など炎症が強い場合に、短期間使用することがあります。
・抗菌薬内服薬:掻き壊しによる細菌感染が広範囲に及んでいる場合や、外用薬だけでは効果が不十分な場合に処方されます。
・漢方薬:湿疹が合併しているなど、炎症やかゆみ、乾燥、体質改善を図る目的で処方する場合があります。
その他
・冷却:刺された直後や、かゆみが強い場合は、冷たいタオルや保冷剤で患部を冷やすことで、かゆみや腫れを一時的に和らげることができます。
・応急処置:ハチに刺された場合は、毒を吸い出すポイズンリムーバーを使用したり、毒液を洗い流したりする応急処置が有効な場合があります。ただし、スズメバチの場合は無理をせず、直ちに医療機関を受診しましょう。
・アナフィラキシーショックへの対応:ハチ毒アレルギーなど、過去に重篤なアレルギー反応を起こした経験がある方には、緊急時の自己注射薬(エピペン)の携帯をお勧めすることがあります。
当院では、皮膚科専門医である院長が常駐しており、虫さされの診断と治療に関して豊富な経験と知識を持っています。単なる虫さされと軽視せず、患者さんの症状や背景を詳細に診察し、合併症のリスクを最小限に抑えるための適切な治療を提供しています。患者さんが安心して治療に取り組めるよう、丁寧な説明とサポートを心がけています。
日常生活でできること・セルフケアのポイント
具体的な対策
虫さされの症状を和らげ、悪化を防ぐためには、日々のセルフケアが非常に重要です。自宅で実践できる具体的な対策を解説します。
刺された直後の応急処置
刺された部位を清潔に保ち、冷やしましょう。蚊やブヨに刺された場合は、まず石鹸と流水で患部を優しく洗い流します。その後、冷たいタオルや保冷剤で患部を冷やします。ハチに刺された場合は、可能であれば毒液を絞り出すか、ポイズンリムーバーを使用し、清潔な水で洗い流しましょう。毛虫の場合は、付着している毒針を粘着テープなどで優しく取り除き、その後流水で洗い流します。
清潔にすることで細菌感染のリスクを減らせます。冷やすことで、かゆみや腫れ、炎症を一時的に抑える効果があります。毒液の除去は症状の軽減に繋がります。
かゆみ対策と掻き壊しの防止
かゆくても掻かないようにしましょう。かゆみを感じたら、掻く代わりに冷やしたり、処方された外用薬を塗布してください。爪は常に短く切り、清潔に保ちましょう。小さなお子様には、無意識の掻き壊しを防ぐために手袋をさせるのも有効です。
掻きむしると皮膚が傷つき、炎症が悪化したり、細菌感染(とびひなど)を併発したり、色素沈着や痕が残ったりする原因になります。
適切な外用薬の使用
医師から処方された外用薬(ステロイド外用薬など)を正しく使用しましょう。指示された回数と量を守り、患部に均一に塗布します。症状が治まっても、医師の指示があるまで自己判断で中止しないようにしましょう。自己判断での使用中止は、症状の再燃や悪化につながることがあります。
虫刺されの予防
虫の多い場所に出かける際は、虫よけ対策を徹底しましょう。長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を減らします。虫よけスプレーや、携帯型の虫よけグッズも有効です。ハチの活動が活発な時期や場所では、黒い服や香水、ジュースなどの甘い香りを避けましょう。ダニ対策として、寝具の掃除や乾燥をこまめに行い、室内を清潔に保ちましょう。
やってはいけないこと・避けるべきこと
・患部を掻きむしる:前述の通り、症状を悪化させる最大の要因です。
・民間療法を試す:根拠のない民間療法は、かえって炎症を悪化させたり、感染を引き起こしたりする可能性があります。
・ハチに刺された際の自己判断:特にアナフィラキシーショックの既往がある場合や、複数回刺された場合は、直ちに医療機関を受診してください。
・化膿しているのに市販薬で済ませる:細菌感染を起こしている可能性があるため、医療機関を受診し、適切な抗菌薬の処方を受けるべきです。
よくある質問(FAQ)
蚊に刺されただけなのに、いつまでも赤みと腫れが引かないのですが、なぜですか?
通常の蚊さされの反応より症状が長引く場合、いくつかの理由が考えられます。一つは「遅延型アレルギー反応」です。蚊の唾液成分に対するアレルギー反応が時間差で強く出るため、数日~1週間程度、赤みや腫れ、かゆみが続くことがあります。また、掻き壊しによって皮膚が傷つき、細菌感染を併発している可能性もあります。さらに、ごくまれに蚊媒介感染症(デング熱など)の可能性もゼロではありませんが、日本では非常に稀です。症状が長引く場合は、皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
虫さされで水ぶくれやしこりができることがありますが、大丈夫ですか?
はい、虫の種類や個人の体質によっては、水ぶくれ(水疱)やしこり(結節)ができることがあります。特に、ブヨやダニ、毛虫などに刺された場合に、炎症が強く出て水ぶくれになったり、掻き壊しを繰り返すことで皮膚が硬いしこりのようになったりすることがあります(痒疹と呼ばれる状態)。水ぶくれは破れると細菌感染のリスクがあるため、触らずに保護しましょう。しこりは慢性化すると治りにくい場合もありますので、気になる場合は皮膚科を受診してください。
子供の虫さされは大人と比べてひどくなりやすいですか?
はい、子供の虫さされは大人と比べて症状が強く出やすい傾向があります。これは、子供の免疫機能が未熟であることや、蚊やダニなどの虫に刺される経験が少ないために、虫の唾液成分に対するアレルギー反応が強く出やすいためです。特に乳幼児は、症状が強く出やすく、掻き壊しによって「とびひ」などの細菌感染を併発しやすいので、保護者の方は注意深く観察し、早めに受診を検討しましょう。
ハチに刺された場合、どのような症状に注意すべきですか?
ハチに刺された場合、以下の症状が出たら直ちに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。これらはアナフィラキシーショックの兆候である可能性があります。
・全身に広がるじんましん、強いかゆみ
・呼吸困難、息苦しさ、ぜんめい(ヒューヒューという呼吸音)
・めまい、立ちくらみ、意識の混濁、意識消失
・吐き気、嘔吐、腹痛
・口唇や舌のしびれ、のどの締め付け感
以前ハチに刺された経験がある方は、特に注意が必要です。
虫さされ痕の色素沈着は治りますか?
虫さされの炎症が治まった後に残る色素沈着(黒ずみや茶色いシミ)は、時間とともに徐々に薄くなることが多いです。しかし、掻き壊しによって炎症が強く続いたり、皮膚に大きなダメージが加わったりした場合は、色素沈着が長く残ったり、完全に消えなかったりすることもあります。日焼けを避ける、保湿をするなどのスキンケアや、場合によっては美白剤やレーザー治療が検討されることもあります。
ダニに刺された場合の対策はありますか?
ダニ刺されの予防と対策には、以下の点が有効です。
・室内を清潔に保つ:こまめに掃除機をかけ、特に畳やカーペット、ソファの隙間などを丁寧に掃除しましょう。
・寝具のケア:布団や枕カバー、シーツなどを頻繁に洗濯し、乾燥させましょう。布団乾燥機や防ダニカバーの利用も有効です。
・湿度管理:部屋の湿度を50~60%に保つことで、ダニの繁殖を抑えることができます。
・換気:定期的に換気を行い、室内の空気を入れ替えましょう。
ダニに刺された場合は、掻き壊さずにステロイド外用薬などで炎症を抑えることが大切です。
このような場合はご相談ください
以下のような症状や状況に当てはまる場合は、一人で悩まず、お気軽に当院にご相談ください。
虫さされの症状(赤み、腫れ、かゆみ)が市販薬で改善せず、悪化している
刺された部位が水ぶくれになったり、ひどく腫れたりしている
掻き壊しによって、刺された部位から膿が出る、ジュクジュクする、熱を持つなど、細菌感染の兆候が見られる
全身にじんましんが出たり、息苦しさやめまいなど、全身症状を伴う場合(ハチに刺された際など、緊急性が高いので直ちに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください)
毛虫に触れた覚えはないのに、激しいかゆみを伴う赤いブツブツが広範囲に出ている
子供の虫さされで、症状が強く、掻き壊しが止まらない
虫さされの痕が色素沈着として残ってしまい、気になる
何の虫に刺されたか分からないが、症状が強く長引いている
24時間WEB予約受付中
虫さされは、適切な診断と治療、そして日々の正しいセルフケアによって、症状を改善し、合併症のリスクを減らすことができます。当院の皮膚科専門医が、患者さん一人ひとりの症状と状況を正確に診断し、最適な治療法と生活指導をご提案いたします。「ここに来れば大丈夫」と安心していただけるよう、全力でサポートさせていただきますので、どんな些細なことでもお声がけください。
監修医情報
略歴
-
2003年
名古屋工業大学 卒業後
愛知県名古屋市の建築設計会社 勤務 -
2008年
琉球大学医学部 入学
-
2014年
ハートライフ病院 初期研修
-
2016年
琉球大学皮膚科 入局
皮膚科学講座助教、病棟医長を経て、 -
2023年
沖縄皮膚科医院 開業
資格・所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本アレルギー学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本皮膚免疫アレルギー学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会認定皮膚科指導医
- 難病指導医
- 小児慢性特定疾病指定医