皮膚の病気はとても数が多く、また診察時にすべてをお話しすることは難しいため、よくある病気の説明を記載しています。当院を受診される患者様の疾患理解と治療の一助となれば幸いです。気になることがあれば診察中に医師、看護師までお声かけください。
突発性発疹とは
ほとんどの赤ちゃんが経験する。
熱が下がったと同じころから全身に赤い発疹が広がる。
発熱が続く場合は早めに小児科を受診しましょう。
突発性発疹(とっぱつせいほっしん)は、主にヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)というウイルスに感染することで起こる、乳幼児期に非常によく見られる病気です。ほとんどの赤ちゃんが生後6ヶ月から1歳半くらいまでの間に一度は経験すると言われています。
この病気は、ウイルスに感染してから数日間の潜伏期間を経て、突然高い熱が出ることで始まります。熱は38℃以上になることが多く、中には40℃近い高熱が出るお子さんもいますが、熱があるわりには機嫌が良く、比較的元気なことが多いのが特徴です。熱は3日から4日程度続き、特に治療をしなくても自然に下がります。そして、熱が下がったと同時に、お腹や背中を中心に、全身に赤い小さな発疹がプツプツと現れるのが、突発性発疹の最大の特徴です。この発疹は、かゆみがあまりなく、数日で自然に消えていきます。
突発性発疹は、多くの場合、特別な治療をしなくても自然に治る、比較的軽症の病気です。しかし、高熱が出ることによる熱性けいれんや、まれに脳炎などの重い合併症を引き起こす可能性もゼロではありません。そのため、発熱した際には、お子さんの様子を注意深く観察し、適切なケアをすることが大切です。「熱が下がった後に発疹が出た」という特徴的な経過が見られたら、小児科や皮膚科の先生に相談してみましょう。 早めに診断を受けることで、適切なケアや、重い症状のサインを見逃さないようにすることができます。
突発性発疹の主な原因と感染経路
ポイント
突発性発疹は、ウイルスへの感染が直接的な原因です。このウイルスは、唾液などを介して人から人へ感染が広がります。
主な原因ウイルス
・ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6):
突発性発疹の約90%はこのウイルスが原因です。
※まれに、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)が原因で発症することもあります。
感染経路と誘発要因
・飛沫感染:
感染しているお子さんの唾液中にウイルスが含まれており、咳やくしゃみなどのしぶきを吸い込むことで感染します。
・接触感染:
感染しているお子さんの唾液が付着したおもちゃや食器、タオルなどを介して間接的に接触することで感染が広がります。小さな赤ちゃんは、ご両親や兄弟など、身近な大人や子どもから唾液を介して感染することが多いです。
・集団生活:
保育園など、小さなお子さんが集団で生活する場所では、飛沫や接触の機会が多いため、感染が広がりやすい傾向があります。
・免疫力の未熟性:
生後6ヶ月から1歳半くらいまでの赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫が弱まり始める時期ですが、まだウイルスに対する免疫が十分に発達していないため、この時期に初めてHHV-6に感染し、突発性発疹を発症することが多いです。
・無症状感染者:
突発性発疹のウイルスに感染しても、症状が出ない「不顕性感染」の場合もあります。このようなお子さんや大人も、ウイルスを排泄しているため、感染源となる可能性があります。
突発性発疹は、乳幼児期にほとんどのお子さんが経験する一般的な病気ですが、ウイルス感染が原因であるため、手洗いやうがいなどの基本的な衛生管理が感染予防につながります。
突発性発疹の主な症状と経過(お子さんの場合)
ポイント
突発性発疹は、その特徴的な症状の経過から診断されることが多い病気です。特別な治療は必要ありませんが、発熱時のケアが重要になります。
突然の高熱
何の前触れもなく、突然38℃から40℃近い高い熱が出ます。熱があるわりには、お子さんは比較的元気で機嫌が良いことが多いのが特徴です。食欲も普段とあまり変わらないことがあります。
熱は3日から4日程度続き、自然に下がります。
解熱後の発疹
熱が下がったとほぼ同時に、または熱が下がって数時間〜1日以内に、全身に赤い小さな発疹(プツプツとした斑点や丘疹)が現れます。
発疹は、お腹や背中、胸から出始め、その後、顔や手足にも広がっていきます。かゆみをほとんど伴いませんが、ごくまれにかゆがるお子さんもいます。
発疹が熱が下がってから出ることが診断上最も重要なポイントです。
発疹の経過
発疹は、通常、発熱が治まってから2日から3日程度で、自然に薄くなり、跡を残さずに消えていきます。
その他の症状
まれに、熱が出る前に、風邪のような症状(鼻水、咳、のどの赤み)が見られることもあります。
熱が高い時に、下痢を伴ったり、熱性けいれんを起こすお子さんもいます。
突発性発疹の治療法
主な治療法
突発性発疹には、ウイルスそのものをやっつける特効薬はありません。そのため、症状を和らげて、お子さんができるだけ楽に過ごせるようにする「対症療法」が治療の中心となります。
発熱への対応
・水分補給:
熱がある時は汗をたくさんかくため、脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給が最も大切です。 湯冷まし、麦茶、経口補水液、果汁などを与えましょう。
・解熱剤:
熱が高くてお子さんがつらそうにしている(元気がない、眠れない、食欲がないなど)場合に、お子さん用の解熱剤を処方することがあります。解熱剤は熱を下げる目的で使うもので、病気を治すものではありません。
・体を冷やす:
嫌がらなければ、おでこや首の付け根、わきの下、足の付け根などを冷たいタオルや冷却シートで冷やしてあげると、お子さんが楽になります。
・安静:
無理をさせず、お家でゆっくり休ませてあげましょう。
発疹への対応
発疹はかゆみが少ないことがほとんどなので、特別な塗り薬は不要な場合が多いです。もし、発疹をかゆがったり、炎症を起こしたりしている場合は、かゆみ止めやかゆみを抑える軟膏を処方することがあります。
合併症への注意
・熱性けいれん:
高熱が出た時に、お子さんがけいれんを起こすことがあります。以前に熱性けいれんを起こしたことがあるお子さんは特に注意が必要です。けいれんが起きたら、慌てずに体を横にし、安全を確保して観察し、症状が続く場合は救急車を呼びましょう。
・まれな合併症:
ごくまれに、脳炎や肝炎などの重い合併症を引き起こすこともあります。お子さんがぐったりしている、何度も吐く、呼びかけに反応が鈍い、けいれんが止まらないなど、いつもと違う様子が見られたら、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに小児科などの医療機関を受診してください。
当院では、小児皮膚科の専門知識を持つ皮膚科医が、お子さんの突発性発疹の診断と治療に関して豊富な経験を持っています。お子さんの症状を正確に診断し、保護者の方の不安に寄り添いながら、ご家庭でできるケアの方法や、重い症状のサインを丁寧にご説明します。発熱時の適切な対応についてもしっかりとアドバイスいたします。「このクリニックなら安心して相談できる」と感じていただけるよう、きめ細やかなサポートを心がけています。
突発性発疹の日常生活でできること・ご家庭でのケアのポイント
具体的な対策
突発性発疹のお子さんが、高熱や発疹の時期を乗り越え、早く回復するために、ご家庭での正しいケアがとても大切です。また、ご家族や他のお子さんへの感染を防ぐための対策も重要です。
水分補給の徹底
熱がある間は、汗をたくさんかくため、脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給をさせましょう。湯冷まし、麦茶、経口補水液、お子さんが好きな果汁などを、少量ずつ頻繁に与えましょう。ゼリー飲料、シャーベット、アイスクリームなども、水分とエネルギー補給になります。食欲がない時でも、水分だけはしっかり摂らせましょう。
体から水分が失われやすいため、水分不足になると体調がさらに悪化したり、熱性けいれんのリスクが高まったりします。
体を冷やしすぎない・温めすぎない
熱がある時は、お子さんが快適に過ごせるように、体を冷やしたり温めたりする工夫をしましょう。嫌がらなければ、おでこや首の付け根、わきの下、足の付け根などを冷たいタオルや冷却シートで冷やしてあげると、お子さんが楽になります。
発汗を促すために、薄着にさせてあげましょう。厚着をさせすぎると熱がこもり、かえって熱が上がってしまうことがあります。体温調節がうまくいかないお子さんの負担を減らし、体力を温存させるようにしましょう。
食事の工夫
食欲がない時は、無理に食べさせず、消化の良いものを工夫してあげましょう。おかゆ、うどん、すりおろしリンゴ、ゼリー、プリン、ヨーグルトなど、消化が良く、お子さんが好むものを選んであげましょう。普段の離乳食や食事を、やわらかく煮たり、細かく刻んだりするなどの工夫も有効です。
熱が出ている時は消化機能が低下していることがあるため、消化の良いものを選び、体への負担を減らしましょう。
安静と休養
お子さんの体力を温存し、回復を促すために、お家でゆっくり休ませてあげましょう。遊びすぎや無理なスケジュールは避け、睡眠時間を十分に確保しましょう。体力が落ちていると、回復が遅れたり、症状が悪化したりすることがあります。
感染予防の徹底
突発性発疹のウイルスは唾液中に含まれるため、ご家庭内や集団生活での感染拡大を防ぐ対策が重要です。
・手洗い:
排泄後、食事の前、お子さんのケアの後など、石鹸と流水でこまめに手洗いを徹底しましょう。お子さん自身にも手洗いを促しましょう。
・タオルの共用を避ける:
お子さんのタオルや、口に触れる可能性のあるものは、他のご家族や兄弟姉妹と共有しないようにしましょう。
・おもちゃの消毒:
お子さんがよく触れるおもちゃや、共有する可能性のあるものは、こまめに消毒(アルコール消毒や熱湯消毒など)しましょう。
発疹のケア
発疹はかゆみが少ないことがほとんどなので、特別なケアは不要な場合が多いです。もし、発疹をかゆがったり、炎症を起こしたりしている場合は、医師から処方されたかゆみ止めやかゆみを抑える軟膏を塗布することができます。掻き壊しを防ぐために、爪を短く切ることも大切です。
発疹は自然に消えていくため、無理にいじったり、刺激したりする必要はありません。
やってはいけないこと・避けるべきこと
・高熱があるのに無理に登園・登校させる:
熱が下がって発疹が出るまでは、他の子にうつしてしまう可能性がありますし、お子さんの体力も消耗します。
・自己判断で薬を途中でやめる:
処方された薬がある場合は、医師の指示通りに最後まで使い切りましょう。
・熱性けいれん時に慌てて体を揺さぶる:
けいれんが始まったら、安全を確保し、横にして落ち着いて見守りましょう。
よくある質問(FAQ)
熱が下がってから発疹が出たのですが、これって突発性発疹ですか?
はい、「熱が下がった後に、体にお腹や背中を中心に赤い発疹がプツプツと現れる」という経過は、まさに突発性発疹の最大の特徴です。多くの場合、これで突発性発疹と診断されます。発疹は、たいていかゆみもなく、数日で自然に消えていきます。もしこの特徴的な経過が見られたら、一度皮膚科や小児科の先生に相談してみましょう。
突発性発疹は大人にもうつりますか?
いいえ、突発性発疹の原因ウイルス(HHV-6)は、ほとんどの人が乳幼児期に感染して免疫を獲得しているため、大人にうつることは基本的にありません。 もし大人が初めてこのウイルスに感染したとしても、症状が出ない(不顕性感染)か、ごく軽い風邪のような症状で終わることがほとんどです。ただし、免疫力が著しく低下している大人の場合、重い感染症を引き起こす可能性はゼロではありませんが、非常に稀です。
突発性発疹で高熱が出たのですが、熱性けいれんが心配です。どうすれば良いですか?
突発性発疹は高熱が出やすい病気なので、熱性けいれんを心配される親御さんは多いです。 熱性けいれんは、熱の上がり始めによく見られ、遺伝的な要因も関係します。
もしお子さんが熱性けいれんを起こしてしまったら、慌てずに、まずお子さんを安全な場所に横にしてあげてください。口の中に物を入れようとせず、衣類を緩めて呼吸を楽にしてあげましょう。けいれんが5分以上続く場合や、意識が戻らない、けいれんを繰り返す場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに小児科などの医療機関を受診してください。 以前に熱性けいれんを起こしたことがあるお子さんは、かかりつけの小児科の先生に熱が出た際の対処法をあらかじめ相談しておきましょう。
突発性発疹と他の発疹の病気(麻疹、風疹など)との違いは?
突発性発疹と他の発疹を伴う病気との大きな違いは、「熱が下がってから発疹が出ること」です。
・突発性発疹:
高熱が数日続き、熱が下がってから発疹が出ます。発疹はかゆみが少なく、数日で消えます。
・麻疹(はしか):
高熱と同時に発疹が出ることが多く、発疹の出方も特徴的です。咳、鼻水、目の充血などの症状が強く、非常に感染力が強い重い病気です。
・風疹(三日はしか):
発熱と同時に発疹が出ることが多いです。発熱や発疹が比較的軽く済むことが多いですが、妊娠中の女性が感染すると問題になることがあります。
ご家庭で判断するのは難しいため、発熱と発疹が同時に出た場合や、熱が下がってから発疹が出た場合でも、必ず小児科や皮膚科を受診して正確な診断を受けましょう。
突発性発疹は予防接種で防げますか?
現在のところ、突発性発疹に対するワクチン(予防接種)は、定期接種・任意接種ともにありません。 しかし、ほとんどのお子さんが乳幼児期に感染し、一度かかると免疫ができるため、何度もかかる心配はありません。予防接種はありませんが、日頃からお子さんの体調管理に気をつけ、手洗いなどの基本的な感染対策を行うことが、発症や感染拡大を防ぐ上で大切です。
24時間WEB予約受付中
当院では、お子さんの皮膚の状態を正確に診察し、ご家族の不安に寄り添いながら、お子さんにとって最適なケアとご家庭での対策を丁寧にご説明します。突発性発疹は、特徴的な経過をたどる病気ですが、気になることや不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お子さんとご家族が、安心して笑顔で毎日を過ごせるよう、全力でサポートさせていただきます。
監修医情報
略歴
-
2003年
名古屋工業大学 卒業後
愛知県名古屋市の建築設計会社 勤務 -
2008年
琉球大学医学部 入学
-
2014年
ハートライフ病院 初期研修
-
2016年
琉球大学皮膚科 入局
皮膚科学講座助教、病棟医長を経て、 -
2023年
沖縄皮膚科医院 開業
資格・所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本アレルギー学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本皮膚免疫アレルギー学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会認定皮膚科指導医
- 難病指導医
- 小児慢性特定疾病指定医